「子ども食堂」は、2012年に東京都大田区で「気まぐれ八百屋だんだん」を経営する近藤博子さんが最初に名付けたとされています。
愛知県では、北区わいわい食堂等数件が「子ども食堂」を始めました。北区わいわい食堂の代表の杉崎伊津子さんが、あいち子ども食堂ネットワークの初代代表を担っていました。
今回は、あいち子ども食堂ネットワーク様に取材させていただきました。
あいち子ども食堂ネットワークとは
愛知県内の子ども食堂の横のつながりである「あいち子ども食堂ネットワーク」は2017年6月24日に創立されました。
現在、代表の忠平守さん、事務局長の横井秀則さんをはじめとする役員7名、幹事12名にて運営されています。役員と幹事全員がボランティアで活動しています。
あいち子ども食堂ネットワークとしての事務所は無く、一般社団法人、NPOも取得していません。それは、企業からの寄付金をあいち子ども食堂ネットワーク会員に少しでも多くの物を届けるために「コスト」を掛けないで運営していきたいという思いを持っているためです。
現在あいち子ども食堂ネットワーク会員は約230カ所、賛助会員(個人の支援)が80カ所となっております。
あいち子ども食堂ネットワークの活動
以下が主な活動内容です。
・愛知県子ども未来局における子ども食堂開設サポート
・助成金等の案内
・愛知県社会福祉協議会・名古屋市社会福祉協議会との子ども食堂支援者及び開設準備研修会
・あいち子ども食堂ネットワーク会員行政等に対する要望アンケート集計結果報告
・支援品、各企業からの支援品を230カ所の子ども食堂に配布 etc.
あいち子ども食堂ネットワークの活動方針 ~地域の多世代交流の場へ~
子ども食堂は、「子どもの貧困」という側面が強調されがちだと思います。しかし、ほとんどの子ども食堂は、参加者を子どもや子育て世代に限定することなく「地域多世代交流の場」「こどもの居場所と食事提供」を役割としています。
食支援・フードパントリー、さらに最近では学習支援をする所も多くなってきています。以上があいち子ども食堂ネットワークの目指す子ども食堂のあり方です。
さらに愛知県内の子ども食堂の会員数も増えてきたため愛知県下に中間支援組織を7カ所設置し、昨年から「地域活動推進事業」に取り組んでいます。中間支援組織は、近在の子ども食堂に食事提供をする等の大事な役割を果たしています。
「地域活動推進事業」として、支援品配布・子ども食堂開設サポート・学習会開催等を行っています。
取材について
あいち子ども食堂ネットワーク事務局長横井秀則様にお話を伺いました。
横井さんは、食品会社を勤め上げた後に、社会貢献として子ども食堂に携わってこられました。
現在は、中間支援組織である星の宮ネットワークの責任者であり、近在の子ども食堂10カ所へ食事提供等をする支援品中継地点として活動しています。
辻ゼミ学生と取材に協力してくださった横井秀則様(右から2番目)
Q:コロナによる活動への影響はありましたか
A:通常営業は出来ませんでしたが、お弁当に切り替えるなどして子ども食堂を開催していました。
コロナが流行し始めた頃、市の方から公民館の使用が制限されてしまいました。1回は完全に開催を中止したそうです。しかし、利用していた方々から再開を求める声があがると、お弁当に切り替えて再開しました。コストの面や利用者が並んでしまうといったトラブルがありましたが、コロナが5類に移行されたことで活動を元に戻すことができました。今ではまた、みんなで食事ができる、多世代交流の場となっています。
Q:学習支援はどのようにやっているのですか
A:学生ボランティアなどの協力を得て、各子ども食堂で行われています。
食事の提供とはまた違った能力が必要になるのが学習支援です。星の宮ネットワークではなんと横井様のお子様が私塾を開いており、そちらの協力を得て学習支援を開催できているとのことでした。ただ、これは特殊なケースのようで、他の子ども食堂では地域の学生ボランティア含めいろいろな方と一緒に学習支援を開催しています。
Q:特に力を入れている事業はありますか
A:地域の現状に合わせて必要な取り組みをしています。
特にこれといった取り組みをしているのでは無く、住民の方々が必要とされていることを進めています。また、横井様自身いろいろな業務に携わっていることが多いそうです。子ども食堂だけにこだわらず、観光案内からボランティアのマッチング、地元野菜の栽培といった幅広い事業に取り組んでいらっしゃいます。元気な内にできることはやろうという考えのもと、日々を過ごしているとのことでした。
最後に
まとめとして、横井様からメッセージをいただきました。
「とにかく1度、子ども食堂にボランティアとして足を運んでみてください。経験に勝るものはありません。ただ、伺った際に他のところとは違うといった批判はしてはいけません。それぞれの子ども食堂が、地域に根ざしたやり方で行っています。そういう話は全く違います。私たちはあくまでもサポートをするということを意識してほしい。」
横井様、メッセージそして貴重なお時間をありがとうございました。
今回の取材を通して、子ども食堂はたくさんの人の支え無くては出来ないものだと学ぶことが出来ました。また、食事の提供だけでなく、多世代交流といった地域活性化の場としての役割も果たしている事に気づくことが出来ました。たくさんの人の支えで開催されている子ども食堂。皆さんも是非1度、足を運んでみてはいかがでしょうか。
〔愛知子ども食堂ネットワーク〕
TEL
090-4405-3654(食堂の開設・ネットワーク関連)
080-4302-6808(寄付・ご支援・ボランティア)
ホームページ
《取材・執筆》加藤・大橋・一瀬・佐藤
この記事は2023年11月の情報です。
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