愛知県名古屋市には重要文化財に指定された公共温室が存在していることをご存知ですか?
令和3年(2021)に保存修理事業を終え、「東洋一の水晶宮」と呼ばれていた開園当時の姿が再び公開されました。全面ガラス張りの建物が目の前に広がっている光景は、輝くほどの美しさです。
今回は温室前館の魅力や楽しみ方について紹介します!
◆温室前館とは
温室前館は、一圓俊郎氏が設計を担当し、昭和11年(1936)に愛知県名古屋市千種区の東山植物園に竣工されました。また、日本国内最古の公共温室であり、平成18年(2006)に国の重要文化財に指定されました。温室前館は、鉄とガラスによる建築物の造形的特質を示しており、全熔接建築物として建築技術史上価値が高いと言われています。
外観が非常にキレイで目の前の池と相まって、写真映えします。
【温室前館の外観】
◆5つのエリア
温室前館は5つのエリアに分かれており、それぞれ異なったテーマの植物が展示されています。
①多肉植物室
アフリカやマダガスカル等が原産の多肉植物が展示されるエリアです。特徴的な肥大した葉や根、茎には、乾燥した環境で生きるため水分を溜めています。壁沿いに植えられた小さな多肉植物は、可愛らしいフォルムと育てやすさから、室内インテリアとしても人気です。
【キソウテンガイ(奇想天外)】
②西花卉室
季節ごとに変わる鉢花が展示されるエリアです。四季折々を感じることができるので定期的に訪れてみるのもおすすめです。
③中央ヤシ室
温室前館の中で最も大きなエリアで、背の高くなるヤシ類や熱帯地域の高木が植栽されています。一際目立つ大きなシンノウヤシは、開園当初からある中央ヤシ室のシンボル的存在です。
【シンノウヤシ(雄)】
④東花卉室
イギリスの貴族の館に付随した温室をイメージして作られたエリアです。沢山のキレイな植物と西洋の雰囲気を同時に味わうことができます。
【当時のタイルが使用された水槽】
⑤香りの有用植物室
「香り」をテーマにしたエリアです。
香水にも使われているイランイランノキが展示されています。私たちの生活によく利用されている「香り」の植物を見ることができます。
【イランイランノキ】
◆魅力①温室マークを探してみよう!
館内には樹名板に温室マークのある植物がいくつか存在します。このマークは、昭和12年(1937)の温室前館開園当初より残っている植物に付いており、その数は全13種類。ユニークな名前の植物も多く、温室マークを探しながら観賞するのもおすすめです。
【温室マーク】
◆魅力②昭和12年の開園当初の姿
館内は、昭和12年(1937)開園当初の姿を復元するために、保存修理事業が行われました。鉄骨や柱は著しい錆や耐震性の不足が課題であったため、傷んだ鉄骨部分を切断し、新たな鉄骨が取り替えられました。
しかし、当時の面影はそのままに、溶接跡をあえて残すなどの工夫を施して補修を行っているため、開園当初の雰囲気を味わうことができます。
【鉄骨の溶接跡】
また、当初から残っていたギルド放熱器や照明、切石層などは、丁寧に補修し、再利用しているため、昭和12年(1937)当時のものを見ることができます。
【ギルド放熱器】 【復原照明】 【切石層】
◆魅力③みんなで「温室たんけんビンゴ」を楽しもう
植物園門にある案内所に行くと「温室たんけんビンゴカード」がもらえます。探検ポイントが9カ所あり、カードに載っている写真を頼りに館内を探検し、カードに穴を開けていきます。
【温室たんけんビンゴカード】
たて・よこ・ななめどれでも1列以上揃ったら、受付で記念品と交換できます。私たちはお花の写真がプリントされたシールを頂きました!
【記念品のシール】
子供から大人まで楽しみながら温室前館の歴史に触れることができます!
是非1列以上のビンゴを目指して館内を巡ってみてはいかがですか。
◆最後に
この日は天気が悪かったのですが、多くの人がビンゴカードやカメラを持ちながら温室を楽しんでいました!
是非東山動植物園に行き、貴重な建物である温室前館と普段なかなか見ることのできない植物を目で体感してみるのはいかがですか。
◆施設情報・アクセス
開園時間:午前9時〜午後4時50分
休園日:毎週月曜日、年末年始(12月29日〜1月1日)
入館料:大人500円、名古屋市在住65歳以上100円
地下鉄東山線「東山公園」駅 3番出口より徒歩3分
地下鉄東山線「星ヶ丘」駅 6番出口より徒歩7分
※植物園は星ヶ丘駅が便利です。
公式ホームページhttps://www.higashiyama.city.nagoya.jp/
【取材・執筆:戸谷、神谷、宮松】
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