みなさん!
愛知県の最南端、渥美半島に位置する田原市に、今年4月から新しい温泉が生まれたのはご存知ですか?
その名も「伊良湖温泉」です!!
伊良湖温泉は2022年9月現在で「伊良湖オーシャンリゾート」「玉川旅館」「磯路」の3施設で利用することができ、伊良湖オーシャンリゾートでは日帰り入浴も楽しむこともできます。
伊良湖オーシャンリゾート https://irago-ocean-resort.com/
また、ご家庭でも楽しむことができるように「伊良湖温泉自動販売機」が設置されています。温泉の自動販売機なんてあまり見かけることはないですよね。
この「伊良湖温泉自動販売機」はメンテナンス日を除く、年中無休24時間稼働しており、料金は約34リットルで100円です。温泉のある旅館やホテルへ行かなくても、日常生活のなかで温泉を楽しむことができ、しかもお手軽な価格であるということはとても魅力的ですよね。
伊良湖温泉自動販売機
設置場所 愛知県田原市伊良湖町宮下3000番地69(宮下公共駐車場内)
さて、新しい温泉、ご家庭でも楽しめる温泉と興味惹かれる要素がある伊良湖温泉には、コンセプトがあることをご存知でしょうか?
そのコンセプトは「Magic Hour View(マジックアワービュー)」です!
マジックアワーとは、日没前後の限られた時間に見ることができる、ブルーとオレンジのグラデーションが織りなす空の情景のことです。伊良湖温泉は、空が夕陽から星空へと移る、美しいマジックアワーの光景を望みながら温泉を楽しむことができ、身体だけではなく、心も癒すことができます。
「Magic Hour View(マジックアワービュー)」 と呼ばれる、綺麗な景色を楽しむことができる伊良湖温泉ですが、実際の温泉の泉質も、とても魅力的なのです!
伊良湖温泉の泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(低張性・弱アルカリ性・低温泉)です。塩分を含むことから汗の蒸発を抑え、保湿性が高いため「冷え性」に効果的です。同時に、塩分による殺菌効果も高く「傷の湯」とも言われています。また、弱アルカリ性は肌の角質を取り、つるつるにする「美人の湯」と言われています。源泉温度が25.6℃の低温泉、低張性のため、湯あたりしにくく、長湯を楽しむことができます。
伊良湖温泉は景色だけではなく、温泉の泉質もとても魅力的なのです!
【取材について】
そんな魅力がたくさんある「伊良湖温泉」についてさらに詳しく知るべく、三河田原駅から歩いて約10分のところにある「愛知県田原市役所 産業振興部 商工観光課 観光係」さんに取材をしてきました!
三河田原駅
表参道ヒルズなどの建築を手掛けた安藤忠雄さんが設計
外観からも分かるようにとても綺麗な駅でした
温泉掘削について
Q:そもそも温泉掘削のきっかけとは何だったのでしょうか。
A:田原市の観光客が約400万人いた最盛期と比べて近年の観光客は300万人ほどと横ばいだったのが理由です。観光客を増やす取り組みを考える中で、もう一つ新しい魅力やウリになるものがあるといいというときに、伊良湖岬の方で温泉が出る可能性があると市が調査した結果分かり、掘ってみようという流れになりました。あとは、他の温泉地を見るとリピーターが多いと聞いていて、リピーター獲得のために温泉は新しい観光資源としてぴったりなのではないかというところがきっかけですね。
Q:掘削において大変だったこと、苦労したことはありますか。
A:温泉掘削工事は多額の費用を要するものであり、可能性が高いとはいえ、そこで温泉の湧出が確認できなければ、立てていた計画は白紙になってしまうので、かなり賭けのようなものでもありました。また、掘削工事というのは、騒音など地域の方に影響が出てしまう可能性も考えられるのですが、地域の人々は反対するどころか「がんばってね」や「期待しているよ」など、とても協力的でした。応援してもらえて嬉しかったですね。
――なるほど。田原市に住む人々はみなさん良い人たちばかりですね。
Q:コロナの影響や不安などはありましたか。
A:伊良湖温泉のデビューがコロナ真っ只中ということもあり、お客さんを集められるかということに対しての不安はありました。また、旅館さんやホテルの方々が伊良湖温泉を使ってくれるかという不安もありました。しかし、実際に途中のトラブルはいくつかありつつも、計画通りに進めることができました。
Q:温泉掘削をしたことで変わったことはありますか。
A:まず最初に、伊良湖温泉を掘削して、自動販売機を設置したことで地元の人が気軽に温泉を楽しむことができるようになりました。月に約15トンくらい売れているので、市民の多くの方に温泉を楽しんでもらえているのかなと思います。また、伊良湖温泉は「伊良湖オーシャンリゾート」「玉川旅館」「磯路」の3施設へ配湯されていまして、観光客の方がどれほど増えたのかというのはまだ始まったばかりで分からないのですが、市民の方や近くに住んでいる方には楽しんでもらえているようです。
Q:温泉の自動販売機はかなり幅広い年齢の方が利用されているのでしょうか。
A:漁師さんからは、寒い中漁に出て芯まで冷えた身体が、伊良湖温泉に入るとずっとぽかぽかして気に入っているという声がありました。また、サーファーがサーフィン終わりにポリタンクで水を浴びた後、空いたポリタンクへ温泉を入れて帰る姿も何度か見かけたので、幅広い年齢の方に利用していただいていると思います。
――漁師さんが温泉とはまさに狙ったかのようですね(笑)
温泉自動販売機と今回対応していただいた市役所職員の方
温泉について
――お話の中で伊良湖温泉は「美肌の湯」とお伺いしましたが、女性の方が来てくださりそうですよね。
そうですね。伊良湖温泉のポスターにも女性が写っており、若い女性をターゲットとしているんです。伊良湖温泉のコンセプトが「Magic Hour View」なのですが、田原市は半島だからこそ、夕日が沈んで星空に変わるところを見ながら温泉に入れる、というのをコンセプトにして若い女性をターゲットにしています。
Q:若い女性をターゲットとしているということで、具体的な取り組みは何かされているのでしょうか。
A:例えばなんですがこちらですね(下の写真参照)。市役所の作るパンフレットは硬いイメージがあると思うんですが、この「たはら巡り~な」は本屋さんに売っているような観光雑誌のような感じで、若い方にも手に取りやすいようなデザインにしてあります。この中には、田原市ならではの体験プログラムなどが掲載してあり、「田原を何度も巡ってほしい」という思いを込め、若い方、そして多くの人に興味を惹きつけるようなプログラムと温泉とを合わせて載せてPRをしています。
7月23日から開始
温泉の良さ、田原市でできる体験、など魅力的な情報が分かりやすく掲載されています
――パンフレットもこのクリアファイルもとても見やすくて色味が綺麗ですよね。
今回取材で頂いたパンフレット
ありがとうございます。
温泉の特設のホームページもあるので、若い方にも気軽に遊びに来てもらいたいです。
↓伊良湖温泉特設ホームページ
Q:電車内でつり革広告などを実際に見たのですが、そういったものの宣伝効果などはありましたか。
JR線の電車内にて
A:広告を実施したことで、問い合わせは増えましたね。自動販売機は地域の人だけではなく、地域の外の人も買いに来てくれているので、そういったところではPRの結果は出ているのかなと思います。
――そうなんですね。私も自動販売機の温泉を買いに行きたいと思いました!
Q:伊良湖温泉をキーワードにしたビジネスプランコンテストがあったとHPで見たのですが、温泉を活かしたビジネスというのは何か生まれたのでしょうか。
A:最優秀賞を取った移動式伊良湖温泉「アイルパナス号」というプランが、今年の7月から始動しています。トレーラーにジャグジーや足湯、蒸し風呂などが備えられていて、1度足ミストを試したことがあるのですが、足に細かいミスト状の温泉がふんわりあたり、冷たくてとても気持ちよかったです。
――なるほど。この移動式伊良湖温泉の体験により、実際の温泉にも行ってみようというきっかけにもなりますよね。
そうですね。伊良湖温泉の魅力をたくさんの方に知っていただきたいです。
今後について
Q:では、最後に今後の目標や展望など教えていただけますでしょうか。
A:はい。今後は温泉を宿泊や観光に限定せずに、渥美半島にある農業や漁業や食をどう関わらせていくかを考えていきたいと思います。温泉と組み合わせて観光業だけでなく、市全体が底上げして、温泉の活用をできるようにしていきたいと考えています。市民の人と一緒になって伊良湖温泉をPRして伊良湖温泉をきっかけとして田原市がどんどん盛り上がっていけばいいなと思います。
――市民の方とともに盛り上がれる田原市、とても素晴らしいですね。
ありがとうございます。
忙しい中、丁寧に取材に対応していただきありがとうございました。
【その他伊良湖の観光スポットなど】
以上伊良湖温泉の魅力について取材を通し、お伝えしました。他にも田原市には観光スポットがたくさんあるので、その一部をご紹介したいと思います。
①伊良湖岬灯台
日中と夕方の景色
どの時間帯に行っても綺麗な景色を見ることができます
愛知県の南端、渥美半島の最先端に立つ真っ白な灯台で伊良湖岬のシンボルです。昭和4年(1929)に建てられて以来、海の安全を見守っています。上の写真からも分かるように、目の前に広がる青い海と白い灯台とのコントラストが綺麗で、晴れた日の夕陽の沈む時間帯にはロマンチックなムードが演出されます。また、その景観の良さもさることながら、「灯台のフォルムが小さくてかわいい!」と人気なようです。田原市に来たら外せない観光スポットです。
②恋路ヶ浜
伊良湖岬灯台から太平洋に面して、日出の石門まで約1キロのところにある、美しい砂浜が「恋路ヶ浜」です。昔、高貴な男女が恋ゆえに、都からこの半島に逃れて来たという伝説からこの名前が付いたと言われています。また、その付近には「幸せの鐘」があります。鳴らすと荘厳な音が響き渡ります。ぜひ、行った際には幸せを願って鳴らしてみてはいかがでしょうか。
③サーフィン体験
国内有数のサーフスポットを有する田原市では、サーフィン体験教室が開催されています。初心者から上級者まで、さまざまなレベルの人が楽しめる場所となっています。過去には田原市でサーフィンの世界大会やプロコンテストも開催されました。「田原市 サーフィン体験」とインターネットで検索すると様々な店舗で実施されていることが分かります。夏がシーズンとなるサーフィン、夏の思い出に体験してみてはいかがでしょうか。
④伊良湖神社
伊勢神宮と深いかかわりのある神社です
閑静な場所で、歴史ある美しい佇まいの神社です
「御衣祭(おんぞまつり)」が有名で、現在では4月の第三日曜日に行われています。他にも田原市の歴史を知るスポットとして、「田原市博物館」「田原城跡」「池ノ原会館」「田原まつり会館」などがあります。
田原市にはここまで紹介してきたのだけではなく、他にもたくさんの観光スポットがあります。ぜひ実際に訪れてみてください!
【最後に】
愛知県田原市には記事でご紹介したように、さまざまな魅力的な観光スポットがあります。その裏には、市役所や田原市で働く人々の努力とそこに住む人々の良さが隠れていることを知りました。みなさんぜひ伊良湖温泉がデビューしてさらに魅力が増した田原市に、行ってみて、いや、“巡って”みてはいかがでしょうか!
◎取材先・資料提供
田原市役所 産業振興部 商工観光課 観光係
〒441-3492
愛知県田原市田原町南番場30番地1
【番外編】
取材の帰りに市役所の職員の方のオススメの三河田原駅前にあるパスタとワッフルのレストラン「WASHAGANCHI」でランチをしてきました!
外装と内装は写真のように綺麗で明るい雰囲気です
パスタもワッフルもとても美味しかったです。なんとランチセットにはワッフル食べ放題がついてきて、様々なワッフルを楽しむことができます。
ミートソーススパゲティと期間限定のパチパチメロンソーダワッフル
筆者はワッフルを三回おかわりしました(笑)。写真のワッフルはこの時の期間限定のメロンのワッフルで、みずみずしいメロンと甘いワッフルの組み合わせがとても美味しかったです。季節によって様々なメニューが出るらしいので何度でも楽しめます。三河田原駅近くに来たときはぜひ訪れてみてくださいね。
パスタとワッフル「WASHAGANCHI」田原店 https://n211203.gorp.jp/
※この記事の情報は2022年9月時点(番外編のみ7月末時点)のものです。
【取材・執筆】
辻ゼミ 8期生 今泉・竹内・中嶋・山田
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