top of page
執筆者の写真ささラボ

鵜と生きる人々 ~長良川鵜飼~

皆様、「鳥と通じ合える人達」

がいるのです。

皆様、「フィクションの中で?」

とか思いましたか?


その方々は実際にいらっしゃって、

長良川で鵜飼を受け継いできた「鵜匠」

といいます!


 

◇鵜匠と鵜の喫茶店

 長良川は岐阜県の東部を流れています。

 そして今回、鵜と共に暮らす方々が経営していらっしゃる鵜の庵「鵜」という喫茶店へ取材に行ってきました。


鵜の庵「鵜」

 ちなみに、ここは普通の喫茶店とは違い、鮎料理が食べることができ、更に鵜を間近で見ることも出来ます。

※鮎は、頭からかぶりつくのがおいしかったです。

 そして、現役の「鵜匠」山下純司さんにもお話を聴かせていただきました。

 なんともう50年以上鵜匠として活躍されているそうです。


現役の「鵜匠」山下純司さんの詩

 これは山下鵜匠がお風呂に入っているときに思いついた詩だそうです。

 お風呂に入っているときに鵜への詩が浮かぶということは、鵜との語らいはお風呂に入るのと同じくらい山下さんには当たり前のことなのだなと感じました。

 そして、鵜飼において鵜匠と鵜との目に見える繋がりは、細い手縄一本です。


 それで十匹程を操るのですから、鵜たちと心を交わしあいながら、鵜と共に長く暮らしてきたからできることなのだと思います。


◇時の人が愛した長良川鵜飼

 私は昼間に訪れたので鵜飼をこの目で見ることが出来ず、待合所の記録映像を見ただけですが、それだけでも暗い夜に篝火の下で水しぶきの音に「ほうほう」という掛け声が混ざり思わず見入ってしましました。


【長良川鵜飼】

 写真だけでも迫力が伝わりますよね?

 いつか夜に遊覧船の上から生で見てみたいものです。

 長良川鵜飼ですが、その歴史は1300年以上です。

 そして、その魅力から室町時代では織田信長、江戸時代に幕府から、明治政府の要人たちから寵愛をされ保護されてきました。

 現在でも、禁漁区を設けられ御料鵜飼として皇室の保護を受けています。

 山下さんは皇后陛下とお話されたこともあるそうです。


山下さんと天皇陛下(岐阜市教育委員会 鵜飼再発見より)
【山下さんと天皇陛下(岐阜市教育委員会 鵜飼再発見より)】

 毎年、禁漁区で取れた鮎は即日皇居まで送られ、翌日両陛下がお召し上がりになるそうです。

※取材を行った日は7/4なのですが、丁度禁漁区での漁の日だったそうです。


◇鵜匠のパートナーの「鵜」

「鵜」についてもお話します。


鵜匠のパートナー「鵜」

 まず、鵜はとても目が良いんです。目が良いことを表す際「鷹の目」という表現がよく用いられますが、本来は「鵜の目、鷹の目」というそうです。

 そして鵜はとても速く泳げるのです。

 いきなりですが、アヒルやハクチョウなどの水鳥の足を想像してみて、もしよければ紙に描いてみてください。


 こんな感じになりますよね。


 ではこちらが、鵜の足です。


鵜の足

 まず、膜の数が一枚多くなり、面積が大きくなっていますよね。

 勿論、膜の面積は大きいほうが水の中では速く動けますから、鵜は他の水鳥に比べてとても速く泳ぐことができるのです。


◇鵜と鵜匠がみせる繋がり


 こちらは、鵜飼に使われている船の上なのですが、冬に船の上で鵜たちと共に過ごすために「コタツ」が積んであるんです。


 そして


 これは鵜が飼育されているところですが、しかし何処にも繋がれていません。勿論、屋根はもございません。

 さらに、実は鵜飼に使われている鵜は野生の鵜なんです。※

にも関わらず、ここには二十匹以上の鵜がいますが一匹たりとも飛んでいく気配がありません。

 これもやはり、鵜と心を通わせている山下さん達がいる、この場所だからこそだと思います。

 これほどの強い繋がりがなければ普通、鳥達は飛んで行ってしまうと思います。

 昔、私が飼っていたインコは飛んで行ってしまいましたから。

※鵜には「ウミウ」と「カワウ」の二種類がいます、長良川で飼育されているのは「ウミウ」です。不思議なことに「ウミウ」は飼育環境では繁殖しないそうです。なので、茨城県に野生の鵜を捕まえる、国に認められた方がいらっしゃるそうで、その方が全国の鵜飼の行われている地域に鵜を送っているそうです。


◇繋がれてきた鵜飼の魅力

 ここまで私が体験し感じてきたことを語ってきましたが、まだ私が気付かなかった魅力がたくさんある気がします。

 また、”百聞は一見に如かず”ということわざもある通り、実際に足を運び1300年以上前から続き、これからも繋がれていく魅力を感じ取ってほしいです。

 長良川は皆様が想像しているより名古屋から近く、名古屋近郊ですと電車を使えば1時間半ほどで行けてしまいます。

 やはり私の口からと、長年鵜と寄り添いともに暮らしてきた方々とでは言葉の重みも違います。

 もしお時間が許すならば「夏」にぜひ足を運んでみてはいかがでしょう?

◇お礼

 今回伺った鵜の庵「鵜」の皆様、突然の来訪にも関わらず、興味深いお話を聞かせていただき誠に感謝を申し上げます。

 鵜を家族のように思い寄り添っている姿を拝見し、お話を聴いて自然と生きるとはこういう生き方のことをいうのだなと思いました。そして言葉以外のモノで繋がる大切さを実感しました。


施設情報

アクセス

「名鉄岐阜」駅→岐阜バス高富行きからバス停「鵜飼屋」で下車(15分)→徒歩(5分)

所在地:〒502-0071

    岐阜県岐阜市長良中鵜飼94-10

営業日:10:00~16:00

定休日:第1第3第5月曜・第2第4日曜、12月31日~1月4日



【執筆:ささラボ取材班 小林】

Comments


bottom of page