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  • 執筆者の写真ささラボ

来園者・来館者が急増中!? ~徳川家ゆかりの都会のオアシス~

更新日:2019年10月29日

 あなたは徳川ゆかりの場所に訪れたことがありますか?

 名古屋市東区にある徳川園と徳川美術館で、徳川家について知るだけでなく、緑豊かな自然の中で、ゆったりと過ごすことができます。


 

~緑豊かな憩いの庭園、徳川園~

 まずは、徳川園をご紹介します。徳川園には合計5件の登録有形文化財があります。


大曾根の瀧
【大曾根の瀧=撮影:筆者】

 私たちが徳川園に訪れて圧倒されたのはこの瀧です。写真ではわかりにくいですが、この瀧は落差6mの3段の瀧になっており、大中小の様々な岩が組み合わさっています。これにより、水しぶきの度合いが毎回異なるので、時が過ぎるのを忘れるほど見惚れてしまいました。もちろん、水しぶきだけでなく、水の流れる音はとても心地よく、心が清らかになりました。


徳川園の龍仙湖
【龍仙湖=撮影:筆者】

 その他にも、龍仙湖(りゅうせんこ)では、黒松を背にして浮かぶ島々、水際を渡る飛石、突き出す砂嘴(さし:くちばしのような形をした土地のこと)、舟小屋のある渡し場などを巡りながら楽しむことができます。

 この龍仙湖を見て、日本三名園の一つである兼六園にも引けを取らないほどの美しさがあると思いました。徳川園では毎週金・土・日・祝日で、随時庭園ガイドを開催しています。ガイドは予約制とのことですので、徳川園に行かれる際は事前に予約をし、訪れてみてはいかがでしょうか。

 また、徳川園には隣接したレストランもあるので、是非立ち寄ってみてください。


ガーデンレストラン徳川園
【ガーデンレストラン徳川園・外観=撮影:筆者】

 こちらのレストランでは、緑豊かな自然と龍仙湖を眺めながら食事ができます。


昼は喫茶、夜はバーとして楽しめる徳川園の蘇山荘
【蘇山荘(そざんそう)・外観=撮影:筆者】

 こちらでは、汎太平洋博覧会(昭和12年)の迎賓館を移築した歴史的建造物で、草庵的な緑の庭園を眺めながら昼は喫茶、夜はバーとしてお楽しみいただけます。少人数パーティーでの利用もできるそうです。


 


~歴史と文化、徳川家の隆盛を感じる徳川美術館~

 次に、徳川美術館についてご紹介します。徳川美術館は昭和7年に着工、昭和10年に完成し、同年秋に開館した歴史ある建物です。徳川家康の遺品を中心に、尾張徳川家初代藩主の義直以下代々の遺愛品、いわゆる大名道具を一万件余りも収める美術館です。国宝9件、重要文化財59件を収蔵・展示しており、さらに、質の高さと保存状態の良さも誇る国内屈指の美術館です。


徳川美術館の外観
【徳川美術館の外観=撮影:筆者】

徳川美術館の撮影可能エリアにある甲冑
【撮影可能エリアにある甲冑=撮影:筆者】

 館内はとても静かで、ゆっくりと展示品を見ることの出来る雰囲気があります。また、写真のような甲冑や刀剣が展示してあり、歴史好き、戦国時代好きにはたまらない構成となっています。7~9箇所の展示室があり、観覧の所要時間は早い人で30分、ゆっくり目の人で2時間といったところです。さらに、隣接する蓬左文庫の展示室において、年間約10回の特別展・企画展が行われています。

 さらに、子供教室や茶会、体験講座など、魅力的なイベントが豊富に開催されており、年中楽しめます。

 実際に、徳川美術館職員の高松さんに徳川美術館について直接取材してきました。


徳川美術館内ガイドの高松正昭さん
【徳川美術館内ガイド・高松正昭さん=撮影:筆者】

Q:徳川美術館ならではの魅力を挙げるとすれば、何でしょうか?

A:高松さん

 徳川美術館は名の通り、尾張徳川家の大名道具が展示されている美術館です。全国にも徳川ゆかりのものを展示している美術館がありますが、その中でも特に保存状態が良いので、来館者の方も甲冑などをご覧になったときに、あまりにも綺麗なので、「本物ですか、それともレプリカですか」との質問をよく受けます。それだけ尾張の人たちがすごく大事に守ってきたものであり、そういった伝統があったということが言えるのではないかと思います。

もう一つは誰が使って、誰に譲れられて、誰が持っていたかという歴史を紐解くことができる。例えば、「津田遠江長光(つだとおとうみながみつ)」という太刀がありますが、この太刀は、織田信長が大事にしていたものです。本能寺の変が起こり、明智光秀が信長を倒した後、安土城に行ってその太刀を持ってきて家来の津田に渡しました。津田は、香川の前田家に仕官して、香川のお殿様に献上します。そして、その後、お殿様は徳川将軍家に献上しますが、将軍家は尾張徳川家に渡します。つまり、一周して戻ってきたことになります。このような素晴らしい歴史の流れを紐解くことができることが、この徳川美術館の作品の大きな特徴であり、魅力であると思います。だからこそ、美術品であると同時に、歴史的資料であるとも言えるのではないかと思います。

 徳川美術館は、他の美術館と比較しても別格といえます。同じ美術館の中でも持っている品の内容や歴史的資料がきちんと整っている、そういうものが歴史的資料として裏付けが取れているものがとても多く、しかも持っていた人が教科書に出てくるような人であるというのも来館者を惹きつけるのではないでしょうか。

Q:実際徳川美術館に訪れてみて、やはり来館者の年齢層は高いと思ったのですが、

若者向けの展示はありますか?

A:高松さん

 客層は昔に比べて、歴史に興味を持っている若者が増えてきました。数年前から刀剣女子という言葉があるように、刀剣が好きな女性が数多く来館されます。今、刀剣乱舞というゲームがあって、鯰尾藤四郎(なまずおとうしろう)というのが出てきたので実物を見たいということで問い合わせがあるほど、刀剣のブームが来ています。そこで、急遽今年の三月に定員110名の刀剣の講習会を開催したとき、男性が1人で他は全員女性でした。とにかく女性人気がすごかったです。女性の中には、千葉や岡山の遠方から来た方もいらっしゃいました。

 刀はどれを見ても同じのように思われがちですが、刀にも作られた時代や形など、いろいろと違います。見る人によって、刀の形や波紋に好き嫌いがあると思うので、来館者の方は、自分なりに良いものを見極めているのではないかと思います。そういった方は歴史を知る入口として、刀から背景にある歴史や作品に興味を持っていただき、どんどんと関心を広げていただければ良いのではないかと思います。

Q:最後に、どのような方に来てほしいなどあれば教えてください。

A:高松さん

 もちろん、どういった方という特別なものはないですが、実際、徳川美術館に来て作品に触れてその作品の裏側にある歴史に興味を持ってもらうと、その方の人生がより豊かなものになるのではないかと思います。老若男女問わず、すべての方に一度徳川美術館に足を運んで頂ければと思います。

 美術館に興味があまりない方は、展示品の背景にあるものを紐解いていくと楽しいものが見えてくると思うし、本来、刀や能など、日本の歴史について語ることができる姿こそが日本人のあるべき姿だと思います。例えば、フランス人やイギリス人はそれぞれが持っている自分たちの国の文化について詳しいし、相手もそれを求めるが、日本人はそれができないことが多い。

 だからこそ、外国との価値観の差異に気づき、日本の歴史を知ること、知ろうとする姿勢が必要ではないかと感じています。その第一歩として、美術館などに行ってみるのも一つの手段だと思います。



【取材・執筆:ささラボ取材班 松岡・松永】



アクセス

 徳川園・美術館へ車で行く際は、乗用車と大型車ともに有料駐車場があります。

・乗用車 82台(30分120円)

・大型車 8台(最初の1時間500円、以降30分500円)

 公共交通機関をご利用の方は、JR中央本線「大曽根駅」南出口より徒歩10分、南出口には写真のような案内図がありましたので参考にしてください。地下鉄東山線をご利用の方は「大曽根」駅3番出口より徒歩15分です。


JR大曽根駅南出口の徳川園案内図
【JR大曽根駅南出口・徳川園案内図:撮影=筆者】

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