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執筆者の写真ささラボ

おいでん!佐久島 ―アート×地域で生まれた島おこし―

更新日:2019年10月3日

#佐久島



―覗いてみると



綺麗な海

佐久島の綺麗な海(天神の浜)


豊かな自然

豊かな自然とアート作品


食欲を掻き立てるグルメ

見て楽しむ佐久島のご当地デザート


そして思わずスクロールする指をとめてしまうほど魅力的なアート作品の数々。

魅力的なアート作品の数々を体験

それらを、写真を通して見ることができます。


 この記事では、アートによって島おこしを成功させた三河湾の中心に位置する愛知県西尾市の佐久島についてご紹介します。

 これを読めば、きっとあなたも訪れたくなるはずです。


西尾市役所佐久島振興課にて取材中のささラボ取材班
【写真・取材中、西尾市役所佐久島振興課にて】

 今回は、西尾市地域振興部佐久島振興課・主事の山下桂さんにお話を伺いました!

 山下さんは、この取材のために前もって資料を用意してくださり、私たちの質問にも一つ一つ丁寧に答えていただきました。


全国初!アートによる観光地化!

 もともと佐久島は漁業で栄えていましたが、産業の衰退と共に人口も減少した現在は224人ほどだそうです。島には信号機がひとつもなく、ゆったりとした時間が流れ忙しい日常を忘れさせてくれる、そんなところが魅力の一つとなっています。

 そんな佐久島が、全国で初めてアートによる島おこしを始めるきっかけとなったのは、1995年に当時の国土庁による「よい風が吹く島が好き女性委員会」に参加していたアートプロデューサーの方が、アートによる島おこしを提案したことによるもの。最初はアートだけが先走ってしまい、島民の方の理解が得られずに苦労されたそうです。

 しかし2001年、アート関連事業を企画する民間企業『オフィスマッチングモール(OMM)』に業務委託した「三河佐久島アートプラン21」が始まります。そして、島民全員で構成される「島を美しくつくる会」と協力して島に関連のあるアートを多数展示し、島内を巡るツアーやスタンプラリーを実施しました。

 その結果、現在では年間観光客数10万人を突破し続けるほどたくさんの人が訪れています。


◇アートと島おこし―その内容とは?

 佐久島には常設のアート作品が点在しており、それらを実際に触れ、体験できることが特徴となっています。特に『おひるねハウス』や『大葉邸』が有名ですが、これらのアートは様々な分野の芸術家のほかに、なんと芸術専攻の大学生達によって制作されたものもあります。

 島を訪れる観光客の多くはハイキングコースやレンタサイクルなどを利用して、島の美しい自然や風景と共にこれらの「体験型アート」を自由に散策して楽しんでいます。

 それに加えて近年は、島のアートをカメラ片手に巡る若者の姿も増えてきています。どうやら「映え」を求めたインスタグラマーたちが島のアートの写真を投稿しており、それらが拡散されてさらに島へ人を呼ぶという結果に繋がっているようです!

 今年(2019年)は、佐久島で撮影された映画『ねことじいちゃん』の公開に伴った関連イベントも行われており、猫愛好家や中高年層の心をも掴んでいます。

 取材のなかで山下さんも、「このようなSNSや映画の宣伝効果は偉大だ」と言います。こうした新たなニーズを獲得することに成功したことこそ、今佐久島が注目されている理由のひとつではないでしょうか?


自然な風景に溶け込む島のアート
【写真・北のリボン】島のアート作品のコンセプトは、島の風景とあっているもの・島の素材を使ったもの

 こうした島づくりができているのは、なにより島に住む人々の支えがあってこそだと山下さんは語ります。なかでも詳しく紹介してくださったのは、海を豊かな環境にさせるアマモ(海草の一種)を移植する『アマモボランティア』という活動でした。この活動は島の小中学生による「佐久島の海をきれいにしたい」という提案から始まったもので、今年で18年目を迎えます。…残念ながら今年度は天候不良のため中止となってしまいましたが、毎年島の内外から200人ほどのボランティアが参加する大きな取り組みになっているそうです!


◇乗り越える壁と目指す先―佐久島のミライとは?

 観光客数が10万人を突破し、活気が溢れる佐久島。アートを求めてたくさんの観光客が集まってきました。


佐久島アートの大人気スポット、おひるねハウス
【写真・おひるねハウスの行列】

 しかし、乗り越えられていない壁があるようです。それは、島おこしをするきっかけにもなった「島民の増加」。佐久島では、この大きな課題解決に向けてどのように取り組んでいるのでしょうか…?

 今回取材させていただいた佐久島振興課では定住希望者の受け入れをスムーズに行うために、「定住促進ガイドライン」という方針を定めています。このガイドラインは、島内の各団体の代表者から成り立つ佐久島担当部会と協力し定めたもので、定住希望者は定住前から島の方々との関わりを持つことができます。定住希望者は島の雰囲気や様子など詳しい事まで聞いたり感じたりすることができ、島民の方々もどんな人が島に住みたいのかを知ることができます。

 また、佐久島には宿泊滞在型農業体験施設「佐久島クラインガルテン」も設けています。ドイツ語で小さな庭という意味のこの施設では1〜5年間、農業をしながら定住体験をすることができます。こちらの体験でも島民の方々との交流を通じて、地域の活性化や利用者の定住への意欲をかき立てているようです。


農業をしながら定住体験をする”小さな庭”クラインガルテン
【写真・佐久島クラインガルテン(管理棟)】

 今回の取材で山下さんは、「佐久島振興課には毎年定住を希望する方が相談しに訪れており、Uターンする方はもちろん、Iターンで島に定住する方もいらっしゃる。」と教えてくださりました。さらなる島の活性化に向けて、特産品のアピールや飲食店の増加などに力を入れていることもわかりました。今注目されている観光業だけでなく、このように「人口増加」や「定住化」という課題に直面し、それを乗り越えようと島の内外から様々な活動をしているということも今回の記事からぜひ知ってもらいたいと思います。


観光客にも人懐っこい佐久島の猫
【写真・人懐っこい猫と遭遇!】 ※猫と触れ合う際の注意 ・猫を撮影するために島民の住む敷地内に入らないこと! ・人を警戒する猫もいるので無理に近づかないこと!


◇佐久島から私たちに

 現在たくさんの観光客で賑わう佐久島ですが、もっと楽しく過ごすためにはどうすればいいのでしょうか?多くの方が佐久島のアートや自然を楽しんでいるなか、自転車で危ない走行をする方やアートを傷つけてしまう方が見られるそうです。自分が楽しむのはもちろんですが、島に住んでいる方や訪れる方もみんなが快く満喫できるように正しくマナーを守ることが大切です。

 最後に山下さんより佐久島振興課を代表して、「なかなか交通の便が悪いところではありますが、とてもいい島なので一度足を運んで頂き、佐久島の風景を味わって佐久島を知って頂きたいと思っています。」とメッセージを頂きました。

 四季を通して素敵なアートや美味しい食材、そして島民の方々とも交流できるイベントを楽しめる佐久島に是非足を運んでみてください!



【執筆:ささラボ取材班 内藤、飯野】



編集後記

 今回の調査では、佐久島の今注目されているその理由や島の抱える課題を学ぶことができました。アートによる島づくりの先駆者といえる佐久島は、今後どのように成長していくのでしょうか…?とても楽しみです。

 後日、実際に佐久島を訪ねてきました。観光シーズン真っ只中とあって観光客はとても多く、特に人気の「おひるねハウス」には行列ができていました。他にもカフェで「映え」に挑戦したり、『ねことじいちゃん』のロケ地巡りをしたり…短い間でもとても楽しい時間が過ごせる、そんな素敵なところなのだと再認識することができました。

 今回の取材に協力頂いた西尾市役所佐久島振興課のみなさん、ありがとうございました。



【編集後記:ささラボ取材班 加藤】


今回の取材先・施設情報


所在地 愛知県西尾市一色町小藪船江東176番地

開館時間 9:00~17:00

定休日 水曜日

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